【No.25】蒼天の滴

曲概要

ヤマハ吹奏楽団が長生淳へ委嘱して創造された四部作「四季連禱」の二作目。

季節で言うと春をテーマにした曲。 四季連禱のなかでは楓葉、翠風と比べて知名度が少し低い気もしますが、めちゃめちゃ良い曲なので是非聞いて欲しいと思い紹介します。

 

そんな蒼天の滴は、どんな曲かって言うとまあ本家の楽曲解説の通りなんですが、春がテーマと言ってもただ朗らかあな春って曲ではなく、厳しい冬の名残りのような激しい曲調で始まり、穏やかな春って感じの旋律と冒頭のような激しい旋律とが入れ替わりながら曲が進んで行き、最後にとても幸福感を感じさせるめっちゃ春って感じの3/4で駆け抜けて気持ち良く終わる曲です。ヤマハ吹奏楽団が長生淳へ委嘱して創造された四部作「四季連禱」の二作目。

この曲の推しポイント!

・最後のめちゃ春なところ

長生淳あるあるですが、不穏だったり複雑な展開を経て、最後の最後にめちゃめちゃ明るくなるのとても良い。

楽曲解説の通り正に春の頌歌で「春が来た!」ってなります。

 

・後半部導入の神秘的なボーンソロ

曲中ちらほら出ていたフレーズを静かに歌いながら後半部の盛り上がり所に向かう感じの美味しいソロ。

静寂な場面だし音域ちょい高だしで、これボーンに吹かせるのかあってなるのもまた良い。

マリンバの伴奏や途中で入るフルートのフレーズも神秘的で美しくて好き。

 

「以下、余談」 蒼天の滴は良い感じにカットすればコンクールでも映える曲な気がしますが、翠風や楓葉と違ってコンクールカット版の譜面がなかったりして、コンクールで目にすることもほぼほぼないですし、四季連禱の4曲ともそうなんですが、演奏時間17分の大曲なので残念ながら演奏会で取り上げることも少ない曲です。

四季連禱と言えば最近、同じくヤマハ吹奏楽団の委嘱で交響曲として再構築されたものが発表されたのは記憶に新しいと思います。

元々の四季連禱は冬をモチーフにした「波の穂」から冬→春→夏→秋の順番で作られましたが交響曲バージョンは秋冬春夏を想定した四楽章で構成されています。

交響曲バージョンは交響曲1曲で四季連禱の四部作分楽しめると言えば楽しめるんですが、まあ楓葉と翠風成分多めになってますし、やはり交響曲には交響曲の良さが、原曲には原曲の良さがありますので、交響曲が発表された今こそ原曲の四部作それぞれにも再度フォーカスが当たるといいなあと思います。

 

また、フィエスタの母団体であるわせすいは、四季連禱四部作を全部演奏したことがある長生淳大好き楽団です。 超余談ですが、「波の穂」「蒼天の滴」は2012年の演奏会で2曲合わせて演奏されており、筆者は観客として聞きに行っていたので演奏機会の少ないその2曲を生で聞けているんですが、当時吹奏楽初心者で全く理解できなかったのが悔やまれます。

曲情報

曲名:蒼天の滴
作曲者:長生淳

出版年:2001年

この曲を一言で言うと:厳しい春。穏やかな春。美しい春。幸せな春。(これが長生淳の「春」だ)

演奏歴:早(第66回定期演奏会)

(早稲田吹奏楽団での演奏歴:早、フィエスタ・ウィンドシンフォニーでの演奏歴:F)

 

Trb. K